料亭のチョコはそんなに甘くない

伊勢丹のデパ地下で調達したおいしい食べ物をモグモグと食べて記録しているこのブログ。
いい機会ですからね、普段食べつけないものにも手を出して、勉強していきたいなあと思っている次第です。
というわけで、えー、今回は和久傳のお菓子を食べたいと思います。

なにやら変な文体になってしまうのですが、この和久傳。「わくでん」と呼びまして、料亭です。
そして伊勢丹のお店は、その京都の料亭のお取り寄せグルメチックな調理セットやお菓子なんかを扱っているんです。

私も何度かはこちらのお菓子をいただいたことがありまして。
例えば、多分いちばん有名なお菓子「西胡」。
さらには「艶ほくろ」というイカした名前で、黒豆の砂糖コーティングといった趣のカリカリしているお菓子とか、「古の実 くるみ」というこれまた砂糖でカリカリしているくるみのお菓子はリピートして何度か食べていました。

でも、私が和久傳で買えるのはここまででした。
だってね、料亭ですよ。
オンラインショップがあるので覗いてみてくださいよ。
あれやこれやの値段を見るに、若輩庶民が軽々しくお邪魔できる店ではありません。

ふー、気を取り直していきましょう。
前置きが長すぎですね。
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はい。こちらが今回買います柚子とチョコレートのお菓子、柚香(ゆうか)です。
50グラム。
そして1944円。

高い。

すいません、辛気臭いこと書いて。
でもいちおう、比較対象としてピエール・エルメのオランジェットの値段を記しておきます。
ズバリ、140グラムで2268円。
むー。
自ら目と耳を塞ぎ、いそいそと購入して家路を急ぎます。

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じゃん。
ヌメ感のある、立派なビニール袋。
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じゃじゃん。
お香でも入ってそうな格好よい箱。
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お目見えです!

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紫野和久傳(わくでん)
柚香(ゆうか)
50g入 1944円
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ひとしきりテンションがあがりました。

進物に用いることを前提に作られているということなのでしょうか、包装のひとつひとつの質感からも、しっとりとした高級感が伝わってきます。
ビビってないで食べてみましょう。

おおお。
あのですね、箱を開けてお皿にうつしている時点でもう気づいてはいたのですけれど、これ、凄まじい香りの量です。
こりゃ名前に「香」って字を入れたくもなりますよ。
想像を超えて芳しいです。

なにが香るのか?
それは、意外にカカオ。
前にも後にもしっかりカカオの味と香りがして、それに寄り添っている柚子、という印象です。

って、あれ? 甘みがめちゃくちゃ抑えめですよ。
なんか地味にすごく珍しいバランスのお菓子だということに気づきます。

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断面を見てみてほしいんですけど、中が柚子ピールの砂糖煮かと思いきや、なんか違うんです。そこまで糖度が高くない。
苦味も皆無。
食感も、なにやらネチリとする。
ゆべし?
いや違う。もしかしてピール本体ではなく、ゼリーなのでは?

しかもチョコもあまり甘くない。
ミルキーさも弱い。
なのに、苦くもない。
一般的なカカオ率が高いチョコみたいに食べづらい要素なんてひとつもなく、日本人でも食べやすい、スッキリ爽やかな雑味のないチョコレート。
あれー、なんですかこれ。

柚子とチョコレート、どっちも絶妙なバランスで「おいしい」や「お菓子っぽさ」を保つギリギリの糖度を攻めながら、雑味がなくピュア。
そして、ほんのひとくちで「これは上等です」とわかる圧巻の香り。
どうしてこのバランスに決めたのでしょうか。
お菓子の、しかもチョコレート菓子の砂糖を減らすだなんて、そうそう決断できるものじゃないでしょう。

でも砂糖のインパクトを減らしたことで、香り、素材の味がぶわっと浮き上がってくるような気がします。
なにやら和食に通じる、味づくりのルール・哲学が垣間見えるように思えてなりません。

なんにせよ、ここまで抑制の効いた味はすごい。
料亭、やっぱ、ものすごいですね。

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紫野和久傳」(わくでん)
思えば、文中の艶ぼくろも、クルミのお菓子もかなり甘さ控えめでした。
甘いのが苦手な人もイケるお菓子を探している人には天国なのかも。
でも、甘いの好きな私も俄然おいしかったですけどね。
やっぱすごいですね。
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