概念としての夏が封じ込められた寒天ハラハラホロリ

老松。
そう、先日に、桜餅と草もちを食べた、あの、京都の老舗です。

その際にも触れましたが、老松が夏季のみ発売する「夏柑糖」。
柑橘の中に寒天を入れた逸品でして、関西の粋人たちのなでは、夏が来たからそろそろ食べましょうか、という暑気の到来を思わせるお菓子らしいです。

私がこのお菓子の存在を初めて知ったときから変わらず、東京で買うことができるのは伊勢丹のデパ地下だけ。そうじゃなけりゃ通販。
うーん。
そりゃ伊勢丹、売り切れるよね、という感じです。

もっと気温が上がってくると、ほんとなかなか買えなくなっちゃうので、私はこの時期に食べておきます。
今年は4月初頭から発売を始めたみたいな話です。

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売り場の角のとこ。
一番目立つところにでーんと鎮座。

いつ見てもかわいい。
ね、食べたくなるでしょ、これ。

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買いました。
あいかわらず紙袋のデザイン最高。

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どれどれ…。

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登場。

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葉っぱ付き。
いいね。
おしゃれだなあ。
上の、フタがあきます。

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老松
夏柑糖
1296円
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これを…。

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こんな風に…。
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いえーい、プルプル!

……今、記事を書くにあたって、ネットで「夏柑糖」と検索してみたら、夏柑糖をリンゴを切るみたいな感じで1/4くらいのくし切りにカットして食べている人が多いみたいなんです。

でも、こちとら初めて食べた15年くらい前からずっと、上の蓋を開けて、スプーンを突っ込んで食べてます。
カットするだなんて考えたこともなかったです。
人と一緒に食べるときも、ふたりでひとつの穴にスプーンを交互に突っ込んで食べてました。
(……カットすると写真かわいく撮りやすそうだな)。

まあいいか。
食べる!

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うー、ものすごくピュアな味。
雑味少なく、スルスル、スルスルと喉を通っていく。
あああ。
気持ちいいです。

ガツンとした味じゃない。
ほんと、果汁と寒天の味。
果汁のほの甘さ。果汁のほの苦さ。そして上品な酸味を食べる。そういう味。

でもなあ、そこには、なんというか圧倒的な「ピュア」があるんですよ。

もちろん、果実そのままという意味ではありません。

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原材料がこんなですからね、そういう意味でのピュアでもいいんですけど、だったら果実そのままを食べるほうがピュアじゃないですか。
でも、それ以上のピュアがあるって話です。

寒天を入れたことによって、果実そのままよりも強く、果実の清涼感を想起させる。
目の前にある果物じゃなくて、概念としての果物を「ピュア」に味わうために邪魔なものを取り除いた味。
そういう感じなんです。

寒天のホロホロ・ハラハラとした崩れ方(ゼリーのゼラチンってモチッとしてるじゃないですか。ああいう粘り系の抵抗感がまるでなく、なんというか儚い)が水を、清涼感を、うだる夏のなかに滴る冷たい果実・果汁を、想起させるんですよ。

はいはいはい、何いってんだこいつって思われているのは存じ上げてますがね、私、もう、老松は哲学のお菓子屋さんだと思っているので、これくらいのことは言わせてほしいんです。
ていうか、これくらいのことは考えてお菓子を作っているお店だと思うんですよね。多分。

あ、最後に現実的なことを申すならば、真夏ならともかくこれくらいの季節ならば、冷蔵庫で冷やしすぎるよりは、常温の方がおいしいように思います。

非常にサラリとした甘み成分なんで、大丈夫。
物理的温度よりも、夏柑糖の「ピュア」な涼しさに集中したほうが、食べてて楽しいと思います。

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「老松」(おいまつ)
京都市上京区にある京都で一番古い花街・上七軒にある、1908年創業の和菓子屋さん。
嵐山にも店舗を持つほかは、大丸京都店と、伊勢丹新宿店のみの展開。
舌に新鮮な経験値を与えてくれる和菓子の数々に、菓子とはなんぞやと哲学的な気持ちになること請け合い。
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